空想の旅では満たされない
一年を通して、旅の計画が飛び交い、グループチャットは盛り上がり、頭の中では絶えず空想の旅が生まれていた。
どこにも行けず一か所に留まっていると、足がうずうずして冒険のエンジンがかかってしまうものだ。
それに終わりの見えない冬が重なったことで、ようやく暖かくなり始める頃には、案の定アイデアは山ほど生まれ、ニュージーランドを探検しに飛び出したくてたまらない仲間も大勢集まっていた。

毎年恒例の南島行きを封印し
クリスマスの祝祭が過ぎると、トラックの鼻先を南へ向け、人間にできる限り遠くまで走って、誰もいない波と絶景を求める──それが今や毎年の恒例行事となっている。
南島の魅力がいつも強力なのは確かだが、今年は別の計画を立てていた。
生まれ育った北島にこそ、まだ足を踏み入れていない場所が数多く残っている。今年は海峡を越えず、北島の奥地を探検することに決めた。


お馴染みの道を外れて
正直言って、私たちのほとんどは生まれてからずっと北島に暮らしていながら、本格的に人のあまり行かない場所に足を踏み入れたことが一度もなかった。
これは文字にしてみると自分でも犯罪的だと思うほどで、そんな状況を誰よりも自分自身がよく分かっている。
そこで今年は、兄弟にあたる南島へ渡らないことに決めた。
もっとも、それでもトラックを南へ走らせ、誰もいない波を見つけるまで走り続けた。良き伝統が廃れないのには、やはりそれ相応の理由があるのだ。

◾️異色の相棒コンビで島巡り
南下の第一幕では、日常に引き戻される前にひとときの旅を楽しみたいと、何人かの友人たちが途中から参加した。旅の相棒となるのは、私たちの頼れるランドローバーと、友人スコットの燃費の悪いシボレー・バンという対照的な二台だ。ランドローバーの屋根上にはフェルドンシェルター製のルーフトップテントを載せてあり、私たち二人(プラス数名)が寝泊まりできる仕様になっている。
◾️長年の相棒となったバン
このバンはスコットにとって長年の相棒で、大学時代にアリゾナの砂漠で過ごした一年間の家として手に入れたものだった。そして2年間にわたってアメリカを旅した後、そのバンをニュージーランドへ送り返す決断が下された。
◾️不釣り合いな2台が生んだ絶妙なバランス
言ってみれば、ロードトリップの相棒としてはこれ以上ないほど異色の二台だったかもしれない。しかし、この一見ミスマッチなコンビも力を合わせれば、島中へなんとか私たちを連れて行ってくれることになったのだ。スコットのバンは燃料をがぶ飲みするアメリカ生まれの車で、私たちのトラックは走るペースがゆったりしている。だから、私たちが全体のペースを抑え、バンも燃費を気にしてゆっくり走ることで、結果的にはなかなかの好コンビとなった。


◾️東の岬に見つけた夏の恵み
特に印象的な(実際にはかなり大きな)うねりに導かれて島の東側へ向かった後、待ち望んでいた夏の幕開けを存分に楽しみながら最初の一週間を過ごした。夏の時期、イーストケープ(東岬)には独特の小気候があり、今回もその期待を裏切らなかった。ニュージーランドを旅したことがある人なら、長く太陽が照り続けることがいかに稀かご存じだろうが、毎朝、澄み渡る空と有望な波が私たちを迎えてくれた。やがて仲間たちが次々と日常へ戻るため北へ帰っていく中、私たちのゆったり二台旅はそのまま南下を続ける計画だった。


◾️波がなければ山へ
この先には長距離ドライブが控え、沿岸のスウェル予報も下降気味となってきたため、私たちはガスコンロを囲んで、これからの選択肢について思いつくままに話し合った。スコットは熱心なハイカーで、すでに島の半分ほど南下していたこともあり、西に連なる山々が手招きしていた。正直に言えば、私のロードトリップの動機は波と海沿いの暮らしに支えられていることを自分でもよく分かっている。だから内陸へ向かうという発想はなかったのだ。しかし、周囲の海はすっかり凪いでいて、山の魅力が次第に増してきた。こうして、私たちは山へと向かった。

◾️旅の続きを読むには
詳細なストーリーはCorona NZの公式サイトに掲載されていました:
CORONA JOURNEY NO.45 – LONG ROAD NORTH
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